「音がなくても、物語は語られる。」
Rahab Punkaholic Girlsが贈る最新トラック『The gray pledge』は、混沌と静寂が交錯する灰色の世界を描いた壮大なプロジェクトだ。その冒頭部分がこのたび、Synthesizer VのMiyamai Mokaの声によって先行的に公開された。
動画はシンプルだ。音もテロップもエフェクトもない。だが、それがいい。何も飾られていないからこそ、純粋に“声”と“キャラクター”が際立つ。今回の主役であるMokaは、RahabのShadow的存在。彼女のボーカルは、心の奥底からにじみ出るような抑えた感情を湛えており、聴く者に静かで深い共鳴を与える。
この冒頭部分では、物語の伏線となる断片的な言葉や情景が詠まれる。まるで、過去のトラウマと向き合う儀式のような緊張感。Mokaの歌声は、感情を“叫ぶ”のではなく“刻む”。それはRahabの内面と向き合うような体験であり、観る者にも同じ問いを投げかける。「あなたは何を誓うのか?」
Rahab Punkaholic Girlsは、音楽とヴィジュアル、そしてストーリーを三位一体で届けるプロジェクト。彼女たちの音楽は、ただ聴くだけのものではない。NFTとしての所有体験、デジタルアートとしての視覚体験、そして“共に歩む物語”としての物語性が融合する。
この動画はまだ“未完成”だ。しかし、それこそがZINE的な美学。完成前の段階をファンと共有し、そこにある可能性と未確定性を“今この瞬間”として味わう。それは一種の参加型体験であり、アートが完成されるプロセスに立ち会う贅沢だ。
Mokaの声が生み出す緊張感、キャラクターたちの静かな情熱、そして背景に漂う終末的な美しさ——。これらはやがて、映像と音が合流することでさらに深みを増すだろう。
Rahab Punkaholic Girlsの世界観は、まだ始まったばかり。『The gray pledge』というタイトルが象徴するように、これは誓いの物語。闇の中に差し込む一筋の灰色の光。それは希望か、それとも諦めか。今、その答えは、観る者一人ひとりの中にある。
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