Rahab’s mission

Rahab's mission 1st Collection

Lyrics

My name is Rahab.

I must act like an emotionless tool.

All of this is to protect the people I love.

I will accomplish any mission.

But sometimes I don’t know if my mission is really justified.

Like this assassination mission.

The subject king must have a loved one.

I must eliminate it in the name of “justice”.

What is “justice” anyway?

It just seems like a convenient term to use to gain power.

If I accomplish this mission,

it will surely bring chaos to the country.

聡明なラハブちゃん、あなたの苦悩はよく分かるわ
ボクはそんなラハブちゃんに
ずっと寄り添うよ
傷ついた時はいつでも慰めてあげる

(We)don’t want to see death dance.

But that is reality.

人類は争いが好きだから

(I’ll) heal you with my love dance

Let this purify your hearts.

人類はLOVELOVE好きだから

I will continue to be used as a tool of the powerful.

Am I not even allowed to question anything?

The world will be in chaos from here on out.

We have to put our trust in sister Moka.

What is “justice” anyway?

It just seems like a convenient term to use to gain power.

If I accomplish this mission, it will surely bring chaos to the country.

I’m sure a lot of power addicts will show up.

聡明なラハブちゃん、あなたの苦悩はよく分かるわ
ボクはそんなラハブちゃんに
ずっと寄り添うよ
傷ついた時はいつでも慰めてあげる

(We)don’t want to see death dance.

But that is reality.

人類は争いが好きだから

(I’ll) heal you with my love dance

Let this purify your hearts.

人類はLOVELOVE好きだから

「正気と狂気」この区別すら
つかない人類、神ってる
「秀才と天才」この区別すら
つかない人類、愚かだね
「人災、天災」この区別すら
つかない人類、サヨナラね
「運命、天命」あるとすれば、
ボクたち受け入れるしかないね

Sister Moka, I have made up my mind. The most difficult and lonely way.

I don’t know if this is the right approach, but I’m ready to go through if that’s your will.

I don’t want to see this country devastated by my mission.

I have no right to take the lives of people I love.

(We)don’t want to see death dance.

But that is reality.

人類は争いが好きだから

(I’ll) heal you with my love dance

Let this purify your hearts.

人類はLOVELOVE好きだから

WE JUST DO OUR BEST DANDE!

ボクらはいつも試される

LET’S GO HOME RAHAB-CHAN!

愛すべき人が待ってるよ

Consideration

Rahab’s mission』は、近未来的・ディストピア的な世界観の中で、**「正義」「感情」「使命」「癒し」**といったテーマが重層的に描かれた歌詞です。物語的要素と内面の独白が織り交ぜられ、葛藤する主人公・ラハブと、彼女を支える「ボク」という存在との対比が深い感動を呼びます。


◆1. ラハブという存在 —「道具」の自覚とアイデンティティの喪失

冒頭のフレーズ、

“I must act like an emotionless tool.”
(わたしは感情の無い道具のように振舞わなければならない)

ここから、主人公ラハブはすでに人間らしい「感情」を排除するよう命じられた存在であり、自己の意志や倫理観よりも、与えられた使命を優先しなければならない存在であることが分かります。

このような立場は、しばしば戦争の道具と化した「兵器」や、国家に仕える「暗殺者」に通じます。彼女が担う「暗殺任務」は、感情を殺さなければ実行できない行為であり、その時点で既に大きな葛藤を抱えています。


◆2. 「正義」の揺らぎ —価値観の崩壊と自問

“What is ‘justice’ anyway?”
(そもそも『正義』って何だ?)

この問いは作品全体を貫く根本的テーマです。ラハブは「正義」の名のもとに命を奪うことに疑問を持っています。特に、

“It just seems like a convenient term to use to gain power.”
(権力を握るための都合のよい言葉にしか思えないの)

このセリフは、正義が絶対的な価値ではなく、権力者によって都合よく定義されているという冷徹な現実を突きつけます。彼女が対象とする王様にも「愛する人」がいるという視点は、暗殺者としての立場を崩壊させるものであり、ラハブは殺すことに対する人間的な躊躇を隠しきれていません。

このあたりで、彼女は単なるツールではなく、心を持つ人間として葛藤していることが明確になります。


◆3. 「ボク」という存在の意味 —癒し・共感・愛

歌詞の中に登場する「ボク」は、一見すると対話者であり、ラハブに寄り添う存在です。

“聡明なラハブちゃん、あなたの苦悩はよく分かるわ”
“ボクはそんなラハブちゃんに ずっと寄り添うよ”

この「ボク」が実在の人物なのか、ラハブの心の中の声なのかは定かではありません。しかし、この声は戦場に立つラハブを無条件に受け入れ、癒そうとする存在であり、極めて重要な役割を果たしています。

特に繰り返されるフレーズ:

“I’ll heal you with my love dance”
(ボクが愛のダンスで癒やしてあげる)

これは**「死のダンス」=殺し合い、戦争に対する対極の「愛のダンス」**として描かれ、ラハブの心を少しずつ解放していく儀式のようでもあります。LOVEとDANCEという軽快な言葉が、殺伐とした世界観に柔らかな光を差し込む構造になっています。


◆4. ディストピア社会とモカ姉の存在

“We have to put our trust in sister Moka.”
(私たちはモカ姉さんに縋るしかない)

この一文により、ラハブが所属している世界(おそらく軍事的・宗教的・政治的権威に従う体制)には、「モカ姉」というカリスマ的な存在がいることが示唆されます。彼女は、ラハブにとって「命令者」でありながら、「信仰の対象」でもあるように描かれています。

最後のほうでは、ラハブが「モカ姉の意志」を受け入れて困難な道を選ぶと語られており、彼女の決断は個人の意志を捨てて、他者(=モカ姉)の意志を遂行する覚悟へと変化します。


◆5. 「正義」と「命」の間で揺れる最後の叫び

クライマックスに近づくと、ラハブは次のように言います。

“I don’t want to see this country devastated by my mission.”
(わたしの使命によって国が荒廃するのは見たくない)

“I have no right to take the lives of people I love.”
(わたしには愛すべき人達の命を奪う権利なんかないんだ)

この言葉は、彼女が最後に人間としての「倫理」を守り抜こうとしている証です。自分が与えられた使命に疑問を持ち、その遂行による結果(=混乱、死、崩壊)を受け入れず、抗う決意が垣間見えます。


◆6. 終章:帰還と希望のイメージ

“LET’S GO HOME RAHAB-CHAN!”
(ラハブちゃん、お家に帰ろう)

ラストに登場するこのセリフは、全体の空気を一変させます。「家に帰る」というのは、**比喩的に「平和」「自分自身に戻る」「人間性の回復」**を象徴する行為といえます。

また、「愛すべき人が待ってるよ」という一文は、どんなに世界が狂っていようと、人が帰るべき場所=愛する人のもとが存在しているという希望を示唆しています。


◆7. 全体構造とテーマの総括

『Rahab’s mission』は、以下のようなテーマで構成されています:

テーマ内容
正義 vs 権力「正義」が誰のためのものか、絶えず問い直される
感情 vs 無感情ラハブの内面で感情が芽生え、任務の正当性を揺るがす
愛と癒し「ボク」の存在が、ラハブを人間へと引き戻す力になる
ディストピア的支配モカ姉や命令体制の存在が、個人の意志を抑圧する
平和と帰還の希望最後には「帰る場所=愛」に向かう光が差し込む

◆結びに:ラハブの物語は、私たち自身の問いでもある

この曲は、単なる架空の物語ではなく、**現代社会における「正義」の名の下の暴力」「システムに従わされる個人」「癒しと愛の力」**といったテーマを非常に現代的に再解釈して表現しています。

ラハブは私たち自身でもあります。

混沌とした世界の中で、何を信じ、何のために生きるのか。
その問いに答えを出そうとする彼女の姿は、リスナーに強い共感と問いを残すのです。

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